前回のブログで「書こうとしない『かく』教室」いしいしんじ著から、「ことばを垂らす」ことについて書きました。
ことばを垂らすことによって、心の奥底に眠っているものが呼び戻されるということでした。
早速やってみました。
長い間忘れ去られていた出来事を思い出しました。面白かったです。
「写真」という言葉を垂らしてみました。
すると、2つの出来事が突然浮かんできました。どちらも日ごろというかずっと思い出すことなく意識もしていないことでした(2つ書くと長くなるので、今回はそのうちの一つについて書こうと思います)
真っ先に浮かんできたのは、幼稚園のアルバムでした。
年中組の七夕の記念写真だったと思います。クラス全員が何列かに並んで写真をとりました。全員記念にもらったカルピスの小瓶(時代が古い・・・)を手にして、バックには短冊が下げられた竹を写したアルバムです。
それは、中段の真ん中で中腰の私が泣きながら袖で目をこすっている写真でした。
後ろのわんぱく坊主から何度もカルピスの小瓶で中腰で構えている背中をたたかれて、シャッターチャンスのときには泣いてしまいました。その時のことは薄っすらと覚えています。
当時を思い出して、あの時にやめろと言ったり、やり返したりできなかった自分を弱いダメな奴だと感じてしまいました。同時に、なぜあの時、先生は注意してくれなかったのか、そして写真を撮り直してくれなかったのだろうと思いました。
その写真のことは何十年と忘れていました。今回、ことばを垂らして突然意識に上ってきたのです。
写真の出来事を思い出すと、今度は勝手に「泣くこと」と「弱い自分」ということばの糸が垂らされました。
すぐに浮かんだのが、小学校3年生の出来事でした。
学校の帰り道、農道で小学2年生の男子がいじめられて泣いていました。顔にマジックでいたずら書きをされていたのでした。私はいじめている子に「やめろ!」といい、いじめらている子をひっぱり一緒に帰りました。
数分後、後ろから罵声とともに私たちに石を投げてくる子がいました。驚いて振り返ると、先ほどのいじめていた男子の一人とその兄なのか小学6年生の男子が私たちに向かって石を投げてきたのでした。
石が何度も頭や腕をかすり、恐怖で頭を押さえながら、いじめられた子と一緒に泣きながら人通りのある通りまで走って逃げました。
そこで投石は終わりました。彼らはおとなしくそのまま農道を帰っていったのです。
私たちは歩道で立ち止まり、私はいじめられた子の顔に書かれたいたずら書きを持っていたハンカチで拭きました。マジックはあまり落ちず、逆にこすりすぎて顔が赤くなってしまいました。痛そうにしている彼に謝りました。
その子とはその時が初対面で名前も知りませんでした。ただ何故かあの時の彼のぽっちゃりした丸い顔と坊っちゃん刈りの髪は鮮明に覚えていました。
知らない子を助けようとした当時の自分。でも今の自分はそれができるだろうか・・・
ことばを垂らしてみたら、思いもよらない出来事が湧き上がってきて本当に驚きました。
ただ、今回この出来事を思い出して感じたことが、きっと何か私の心の中で抱えている問題や消化しきれていない何かを意味している気がします。
非常に重要なことのような気がします。
今度は、このことをフォーカシングして深めてみようと思います。
余計なお世話かもしれませんが・・・みなさんもよかったら、ことばを垂らしてみてはいかがでしょうか?
きっと新しい発見があると思いますよ。
この出来事も何十年と忘れていました。