「音楽を感じろ(デジタル時代に殺されていく音楽を救うニール・ヤングの闘い。)」
ニール・ヤング&フィル・ベーカー著 鈴木美朋(訳)
を読んで、ミュージシャンの「魂」を聴くことを考えさせられた。
この本では、ミュージシャンとして有名なニール・ヤングが、音楽のデジタル化によって本物の音が伝わらなくなっている現状を憂いて、本物の音をリスナーに届けるためにハードとソフト両面から音楽界を変えていこうと奮闘する様子が鮮明に描かれていた。
私は、音楽は大好きで、今はデジタルの音で十分楽しんでいる(つもり)。
なので、この本を読み始めた時、デジタルのおかげで気軽に便利にいい音質で聴ける今、あえてリスナーが、ニール・ヤングが熱く語る「本物の音」にまでこだわって聴こうとするものだろうか?と疑問に思った。
また、彼の思いと音楽界がかみ合わないようすも書かれていて、もしかしたら彼は音楽界の「ドン・キホーテ」なのでは?と思ったりもした。
しかし、読み進めていくうちに、どんどんニール・ヤングの考えにのめり込んでいった。
「本物の音」を知らないで、現状に満足していていいのか?と思うようになった。
なぜなら、ミュージシャンである彼が、自分が伝えたいと魂を込めて演奏した音が、音楽事業者の都合でデータが圧縮されたり、人間の耳には聞こえないからといって周波数をカットされるなどして、結果、演奏時の空気感や雰囲気が全く伝わらなくなってしまっているというからだ。
この本を読んで、今自分はいい音だと満足しているものの先に、ミュージシャンが伝えたいと魂を込めている「本物の音」があることを知って驚いた。
著書のなかで彼は言う。
「身体や頭はごまかせても魂はごまかせない」
本物を知らずに聴いて、知ったつもり(わかったつもり)になって満足していることの愚かさに気づかされた。
ニール・ヤングの「ハート・オブ・ゴールド」を聴きながら、歌のとおり生きている彼を改めて尊敬した。
「ハート・オブ・ゴールド」は歌も演奏もハートに刺さる。
が、彼が伝えたい「魂」をまだ聴いてはいなかったのだ!
ミュージシャンの魂を聴く。
肝に銘じよう。
ニール・ヤング ハート・オブ・ゴールド
(以下蛇足です。
・・・少し意味合いが違うが、カウンセリングをするなら、その人の魂の声を聴こうとしなければならないと(・・・当たり前のことだが)改めて考えさせられた。)