先日、ボランティアガイドの説明を聞きながら日本庭園をみる機会があった。
庭園の中には小川のような人工の川の流れが作られていた。
小さく蛇行するその流れに沿ってせせらぎを聴きながらゆっくりと歩いた。
静かで穏やかな気持ちになった。
小川をさらに進むとその先には、鬱蒼と生い茂る木々が光を遮り、木の下にはそそり立つ渓谷を感じさせるのようなミニチュア版の岩が両岸に配置された景色が見えた。
川の流れに岩がえぐられたような力強さが感じられた。
「静」から「動」へ切り替わるダイナミックな変化に、見ている自分の気持ちが揺さぶられた。
感激していると、ガイドの方が「ここで立ち止まって、今来た道を振り返ってその景色を眺めてみてください」とアドバイスしてくれた。
振り返ってみると、今来た道なのに全く違った景色が見えた。
その意外性に驚いていると、ガイドの方が「振り返って見たときに、違った景色になるようにあえて作られているんです。それも庭園の趣なんです」と説明してくれた。
こんなに狭い人工的な空間の中に、人の心を動かす知恵と風流さを忍ばせる日本庭園の奥深さに感動した。
ガイドの案内がなければ、これほど深く感動できなかったと思う。
(ちょっと表現は違うが)先達はあらまほしきことなり・・・と思った。
「もし あと1年で人生が終わるとしたら」 小澤竹俊 著より抜粋
「『人生とは、美しい刺繡を裏から見ているようなものだ』
これはフランスの古生物学者でもありカトリック司祭者でもあるティヤール・ド・シャルダンの言葉です。
刺繍を裏から見ているときは、一つひとつの縫い目が何を意味しているかまったくわかりませんがそれを表から見られるようになったときはじめていその意味や美しさがわかります。
苦しみの真っただ中にいるとき多くの人は『なぜ自分がこんな苦しみを味わわなければならないのか』と思います。
ですが、ある程度時間が経ってから振り返ってみると苦しんだからこそ学べたこと、得られたものが必ずあるはずです。
そして数々の苦しみこそが『あなたの人生』という世界に一つしなかい織物を作りあげてくれるのです。」
(ここまで抜粋)